日記・コラム・つぶやき

2018年7月 9日 (月)

母が来て……

 用が終わってヘルパーさんが帰ってから、昼すぎに部屋でひとり、休んでいると、仕切り戸が開いて、泉ピン子に似た母の顔があらわれ、
「おいっす!」
 いかりや長介かい、と心のうちでつぶやきながら、おいっす、と返事した。
 幸町からバスと地下鉄を乗りついで、ようすをみにきたのだ。ぼくは長町南にアパートを借りて介護サービスを利用しながら暮らしている。母が、
「よし、元気があって、よろしい。ん、おお、いい歌きいったな。だれの?」
「幹mikiさんの〈宙そら〉っていうアルバムCDだよ」
 わからない、と母が言う。そんなはずはないとパソコンを立ち上げ、YouTubeで〈仙台ゆりが丘マリアージュアンヴィラCM〉を検索して出してやると、流れる歌に母は耳を傾け、
「ああ、しってるしってる。きれいな声で歌う人だべ」
 そこから昨日、長町の〈びすた~り〉というレストランでいろんなアーチストさんのライブがあって、夕方に移動支援のヘルパーさんを頼んでみに行ったんだよ、という話をした。
 幹mikiさんのCDを買ってきたのは、歌を聴いていると心がおだやかになり、曲に込めた思いやメルヘンチックな話もきけて楽しかったからだ。
「ビールとか飲みながら?」
「うん」
 ぼくの体はいつも意に反してよけいな力が入り、たまに苦しくなるときがある。顔もゆがむ。それが、アルコールが入ると緩和されて、楽になる。ライブも、より楽しんで聴けるようになる。
 泉ピン子に似た顔が、にっこりうなずき、
「それはよかった」
 元気そうな母に、ぼくもホッとしていた。
 母は時計をみて、
「もう、こんな時間だ」
 次のヘルパーさんが来る前に、
「泉ピン子は、帰るぜよ」
 といい、母は部屋を出て行った……。

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2018年5月23日 (水)

帽子が飛ばされるぅ~

 葉ずれの音が、ときおりざわついた。
 横断歩道の赤信号で待つあいだ、見上げる。並木の緑がだいぶ深まってきていて、風にゆさぶられていた。
 半袖のポロシャツに、長袖のパーカーを着せてもらっていた。それでも少し肌寒い。気温は二〇度ぐらいあるはずだが、風が強いせいだろう。平成三十年五月二十三日、空はくもっていた。
 予報をネットでチェックし、
――雨は降らないな。
 昼過ぎに用が終わって帰るヘルパーさんに、電動車いすに移乗してもらって外へ出る。ひとりでぶらっと出かけたが、住宅地から大通りに出たところで、風が吹きあれたのだった。
――やばいっ、帽子が飛んじまう。
 押さえようにも、手がうまく動いてくれない。そんなときは風が吹いてくるほうへ、瞬時に頭を傾けるしかあるまい。さすれば風は帽子のツバに上からあたり、飛ばされずにすむ。ただ風の向きは、急に変わったりするからやっかいだ。
 すれ違おうとする自転車の人が、帽子を飛ばされ、あわてていた。
  風に吹かても♪
  何も始まらない♪
  ただどこか運ばれるだけ♪
 欅坂46の〈風に吹かれても〉の曲が、頭の中を流れる。ちなみにこのガールズアイドルグループのメンバーのことは、よく知らない。ただダンスがかっこよく、かげりのある楽曲がいくつかある。いやなことがあった日やストレスがたまったとき、たまに聴きたくなって部屋で流すぐらいだ。それで気が晴れたりする。それはそうと、帽子がどこかへ運ばれてはかなわない。
 からだじゅうに力がいつもはいっているのは、脳性まひの運動神経の障害のためで、意思と関係ない。あわてると、さらにその症状が強まり、ちょっとつらくなる。
 強風が吹くたび、電動車いすをとめる。やばいっ、帽子が飛んじまう。それを防ごうと、頭を傾ける。
 いつどっちから強風が吹くか、予想できない。そのたび体がビクッとなる。なんどもだと力が抜けなくなって、もうくたびれたばい……。

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2018年4月21日 (土)

うちのかさまは、行くんかな……

 朝、テレビに泉ピン子が出ているのをちらっとみたら、母の顔に似ているので、
「うちのかさまは、行くんかな」
 あしたのことが気になって、知らなかったら伝えようと、電話のところへ這っていった。手がうまく動かないので、鼻で番号ボタンを押す。
 はい、と出たので、
「オレだよ、オレ、オレ」
「ハハハ、なんだ、オレオレ詐欺が」
 暑くなりそうだから、早いうちに、買い物へ行こうと、支度していたところだったそうだ。予報では25℃を超えるらしい。
 ひとり暮らしの母の家の壁には、雑誌の切り抜きが貼ってある。帰省すると、フィギュアスケートの羽生結弦選手を眺めてなにかつぶやいていることがある。あしたその羽生結弦がくるというので仙台のちまたは盛りあがっているようなのだ。
「母ちゃんは、行くのが」
「いやぁ、そんな元気ないわ、テレビでみでっぺ」
 フィギュアスケート界のイケメンを、ひと目でも見ようという人が集って、押し合いへし合いになるだろうな……。
「うんじゃ、母ちゃん、買い物、行ってくっからや」
 母の元気そうな声にホッとしながら、気をつけてといって、電話をきった……。

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2018年4月 4日 (水)

一年生になったら♪

 薄いダウンジャケットを着せてもらい、電動車いすで用足しへ行く。その道すがらの家の庭で、子どもたちが歓声をあげていた。
「ムカデがいるよ」
「えっ、どこ?」
 小学生ぐらいの子が三、四人、しゃがんで地面を観察しているらしい。
 冬のあいだ、裸の枝をさらしていた木も、桃色の花におおわれている。
 平成三十年四月四日、仙台はまだ、雪が降っていてもおかしくない時季であったろう。なのにここ数日のあいだには、もうすぐ初夏がくるのかと思ってしまう日があった。梅や桜は、早く花を咲かせなきゃとあせっただろう。
 予報では、また寒くなるらしい。土から出てきた虫も、あわてて引っ込んでしまうのではなかろうか。
 スーパーに着く。
 電動車いすの操作はできても手指があまりきかないと、風のある日は、一人では外をいけない。
「すみません、バッグにティッシュが入っているので、出してもらえますか。涙がボロボロで……」
「あらら、花粉ですね」
 他の客に泣いているのかと思われるのが恥ずかしいので、用足しにつきそっていたヘルパーさんにふいてもらってから、スーパーの中に入る。
 ちょうどいまごろか、何年か前に外へ出たとき、ちいさい子がのぞき込んで、
「どうして泣いているの」
 と心配してくれたことがあり、こんな優しい子もいるんだ、と、ますます涙がボロボロになって、顔があげられなくなったこともあったっけ。
 スーパーで品物を見て回っていると、BGMで気がついた。
  一年生になったら♪
  ともだち100人 できるかな♪
 いまは春休みなんだ。入学式が待ち遠しい子もいるのか。
 花粉のせいで涙がボロボロになったのを、泣いてるの?と心配してくれたあの子は、こんど小学何年生になるだろう。元気でいてくれるといい。
  優しい隣人が陰で牙を向いていたり♪(歌・平井堅)
 生きていれば、身近で関わる人たちさえ、信じていいのか、わからなくなるときもある。
 学校も、社会の縮図という。
 心が傷つき弱ってしまうことも、ときにはあったするだろう。
 恥ずかしい大人の背中を、ぼくもみせていないか。胸にそっと、手をあててみる……。

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2017年11月20日 (月)

母が来た?!

 部屋のふとんの上でしばし休んでいると、玄関のドアのひらく音がして、歌声がきこえてきた。
「は~るばる来たぜ♪」
 すかさずぼくは、大きな声で、
「は~こだて~♪」
 はて、だれの歌だったか。北島三郎だ、と思い出した。
 そうして部屋にいるぼくを、泉ピン子に似た顔がのぞく。
「元気でよろしい」
 母(七十代)がようすを見に来たのだ。
 ぼくは長町南のアパートで介護サービスを利用しながら暮らしている。体が思うように動かせないのは、脳性まひという障害のためだ。
 ヘルパーさんの出入りが二、三時間おきにある。母がたまに来るのは、ぼくがひとりでいる時間帯だ。車だと三十分ほどの幸町のアパートで母はひとり暮らしている。そこからバスや地下鉄を乗り継いでくる。
 きょうは北島三郎の「は~るばる来たぜ♪」だったが、登場のしかたは、そのときによってちがう。
「おいっす」
 ドリフターズのいかりや長介みたいだ、とぽかんとしていると、
「なんだ、元気ねえな」
 泉ピン子に似た顔に言われてしまう。その次は、息子のほうものりのりになり、
「おいっす!」
 一時間半ほど、世間話をしたり、部屋の片付けをしてくれたりして帰って行った。
 母が元気だと、いつもながら、ホッとする。

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2017年11月14日 (火)

これから通院で(^^ゞ

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(この写真は、きょう撮ってもらいました)
 これから、かかりつけ医院へ行ってきます。
 定期薬をもらい、インフルエンザの予防接種をしてもらおうと思います。
 このつぶやきを打っている時点で午後一時五分、部屋の窓から見える空は、雲が広がっています。
 雨が降らなければいいですが……

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2017年10月21日 (土)

広瀬すずネコニャ~

 日々のストレスで、
 ガチガチになった、
 冴えないオッサンの頭にも、
 広瀬すずちゃんを拝めば、
 草原のそよ風が、吹きぬけていく

ヘ(・.ヘ)(ノ.・)ノしりふりダンス♪
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 カップ麺はあんまり食べないのですが、近くのスーパへ行ったとき、広瀬すずちゃんが目に入って、思わず買っちゃいました。
 きょうのお昼に食べました。味つけがカップ麺にしては思いのほかあっさりしていました。
 空になった容器は棄てるのがもったいない。よ~く洗ってもらって、枕もとの棚に置きました。
 今夜は、いい夢が、みれるでしょうか

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2017年10月18日 (水)

急に冷え込んだとて

 夕方に、ぐんと冷え込んだ日があって、すっかりあわてた。
 とりあえずその日は短時間で準備できること、石油ファンヒーターを出してもらった。
 寒くなると、体の不自由なぼくにとって、電気敷布も必需品なのである。
 次の日に電気敷布をふとんにしいてもらう。数日後、縫い物ができるヘルパーさんが来て、その敷布を、ずれないようにぬいつけてもらった。
 電気敷布を使うのは、明け方に寒くなったときである。体が思うように動かず自分でふとんがかけられないからだ。電気敷布のダイヤルは、手が利かないときは鼻を使えば動かせる。
 冬は寒くなり、そして夏は暑くなる。
 めぐる季節や日々の天気をぼやいたところで、向こう側をコントロールできるものではあるまい。
 寒風と冷雨が身にしみる日もあろう。そういうときは中をあったかくして、カッパを着ればいい……。

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2017年8月29日 (火)

眠っているときの警報、なんとかならないか

 朝早くに枕もとで大音量がして、たたき起こされた。
 ケータイに使っているBluetoothスピーカーだった。寝ていても電話に出れるよう、枕もとにおいている。
 地震がくるのかと、やっと頭をもたげ、携帯画面をのぞく。
 ミサイルが飛んでくるかもしれないっていう警報だった。北朝鮮で発射したらしい。ハワイへ向けた実験か。
 途中の日本に落ちるかも、ということだろう。
 人と人、国と国。
 世界に宗教は数々あれど、心理学の研究結果も数々あれど、現実は気の遠くなるほど複雑でややこしい。なかなか平和にいかないもんだ、とぼくは観念している。むずかしいことはもう、考えたくもない。
 この不自由な体で避難しろったってな、ミサイル飛んできたら、終わりだろう。いつでも覚悟はできてるんだよ。
 それよりぼくが怒っているのは、せっかくの安眠をさまたげられたことだ。
 ケータイ電話の会社か、政府か、どこに苦情を言ったらいいんだ。
 警報の音がうるさい。
 本田美結ちゃんか、広瀬すずちゃんの声にしてくれ。
  ヘ(・.ヘ)(ノ.・)ノしりふりダンス♪

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2017年7月26日 (水)

母におしえられ

 きのうは実家の母(七十代)が、昼過ぎ、ぼくのアパートにようすをみに来ました。
 玄関のドアが開き、
「おいっす」
 ぼくは返事をしました。
「おぉ」
「なんだべ、元気ねえな」
「元気だよ、おいっす」
 と返事しました。
 タツタッタッタ、玄関からキッチンを通って、泉ピン子に似た顔がのぞき込み、
「しんや、なんの日かわがっか。ウナギ買ってきたからや。半分ずつ食うべ!」
「え?」
 土用の丑の日、そんな時季なんだと知りました。
 目の前のことをこなしていくばかりで、気づけば月日の流れは、早いもんだと、黄昏れることもあったりします。いまのぼくはそんな日々です。
 が、離れて暮らしている母が、元気そうだと、ホッとします。
 そういえば〈SEKAI NO OWARI〉の曲、あれいいよ、と母が言っていました。
 一時間半ばかり、世間話をしたりして、帰って行きました。
 あとでYouTubeで探してみましたが、どの曲なのか、息子のぼくにはわかりませんでした。
〈SEKAI NO OWARI〉も、あらためて聴いてみると、元気をもらえるような、いい楽曲、いっぱいあるな……

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